大原扁理「年収90万円で東京ハッピーライフ」を読んだ感想・書評。正直がっかりした
働くのってやだなー。老人になるまで働かされるくらいっだったら少ない金でいいからテキトーに稼いでタラタラ好きなことしてのんびり暮らしてーわ
僕がそう強く思っていた頃に出会った本です。
「年収90万円で東京ハッピーライフ」そうそう、こういうのこういうの、と思って期待しながら読みました。
が、読み終わって俺には無理じゃねと悟りがっかりした本です。
読んで落胆するという奇特な読書体験でした
大原扁理さんって?
1985年愛知県生まれ、東京都在住。高校卒業後、3年間引きこもり、海外一人旅を経て、現在隠居6年目。著書に『20代で隠居 週休5日の快適生活』。最近,木食行(木の実だけ食べて暮らす修行)に憧れてます。
隠居してるくらいですから、かなり変わった人です。
幼いころから空気を読めず、周囲と話を合わせられず、社会や集団行動が辛くて辛くて、何で他のみんなは辛くないんだろう・・・と悩み、何となく特異な目にさらされながら、何とか高校卒業までこぎつけました
「はじめに」に書いてあった自己紹介の部分を引用しました。こういう人って少なからずいると思います。
ですが大原さんの変な部分はここから。高校卒業後、生活費を稼ぐアルバイトを除く時間はすべて趣味につぎ込む引きこもり生活を3年続けていた大原さん。人としゃべらな過ぎて口から言葉が出なくなったそうな。
危機感を感じたそうで、引きこもりにとって大きな決断をします
アルバイトのマニュアル以外の言葉が出てこない。どうやって答えていいのかわからん。やばい。どうしよう。
ということが続き、出も引きこもり楽しすぎるなー、よし、ここはちょっとひとりで世界一周してこよう!となったわけです。
こんなに吹っ切れた人です。考え方や意思決定の仕方がそこらへんの人とはかけ離れています
また、大原さんが中学のころの話。学校のジャージが気に入りすぎて外出時でも着用していたそうで・・・
体育の時間だけでなく、登下校中も授業中も、家で寝るときでもずーっとジャージを着て生活し、わたしのジャージ愛はとどまることを知りませんでした。
ところが、太りだけ黒い羊のような私を、先生方を放っておきません。好きで来ているだけで、別に先生方を怒らせるつもりもなかったのですが、いざ怒られるとますます制服を着る気がしなくなります。
放っておいたら制服着たくなったかもしれないのに。でもジャージ、楽だよなー。なんつって毎日来ていたら、なんと、だんだん諦められてい行ったのです・。
あんなに毎日注意されていたのに、「今日は何にも言われないなー」という日がちょっとずつ増えてきて、まずは担任から諦められ、やがてあきらめの輪は学年全体に広まっていき・・・最終的には誰からも何も言われなくなりました
「年収90万円で東京ハッピーライフ」はそんな人が書いた本です
年収90万円で東京ハッピーライフの内容
ーーもくじーー
- はじめに
- 第一章ハッピーライフの基本とは
- 第二章 フツ―って何?
- 第三章 衣食住を実感するくらし
- 第四章 毎日のハッピー思考法
- おわりに
「はじめに」で著者はこの本がどういうものか的確に書かれている部分があるので引用します
これは、社会的成功から乗り遅れまくったら、不幸になるどころか毎日が楽しすぎて、ジョーシキっていったい何だったんだろう、進学しなきゃいけないとか、就職しなきゃいけないとか結婚とか子育てとか老後の蓄えとか、資格も技能もマナーもテレビもスマホも友達も、なくても生きていけるものばっかじゃん。もー自分しか信じないもんね。何が幸せとか自分で決めちゃうもんね。おならプ―だ。という本です。
一章では、著者の具体的な一日の生活と考え方が書いてあります。
二章では一章で少し触れた著者の考え方が掘り下げて書いてあります。社会の常識や同調圧力を疑う内容です。この二章が一番ボリューミーで読みごたえがありました
三章ではタイトル通り著者の衣食住について書いてあります。質素なご飯や独特な服選び、隠居をしている部屋や環境について詳しく書かれています。
四章では、世間の価値観を比較しながら、いかに幸せに生きるかの考え方が書いてあります。
感想
社会とか世間体とか
この本では一貫して社会の常識や世間体を疑っています。僕自身も社会とか世間体やらに振り回されたくないと強く思っているので、著者の考え方と重なったり、自分が考えていたことの先のことが書いてあったので面白かったです
就職や進学はか習う必要じゃない、社会のルールは意味わかんない、夢とか目標とか理由とかなくてもいい、とハッキリ断言してくれて痛快でした
なるだけ頭いい大学は入って、そしたらなるだけ評価されてる会社入って、大金稼いで、名一杯に消費して、、、、という人生だけが幸せだなんて思いたくないので、その反例を提示してくれたのが心強くて安心しました
人と人の関係性の中で生きていかなければならないんだ、と強く思ったこともありましたがこの本を読んで案外そうでも無いという事実にハッとさせられました。
著者も本の中で言っていましたが、マジで自分の幸せを他人に決めさせちゃいけないです。そのために自分にとってな何が快適で何が楽しくて何が幸せで、ということを突き詰める必要があると感じました。これまでもいろんな人が言われましたが、そこまで真剣に向き合ってこなかったのが正直なところ。試行錯誤が必要です
自分には無理
著者は世間体をまったく気にしません。タテマエじゃなくて本当に
本やブログで「周りの目を気にするな!」と豪語している人なんて結局、社会に認められることで自分の価値を確認したり認められて一喜一憂しているのが大抵です。それじゃあポジショントークにすぎませんよね
ですが著者のように、ここまで世間体を振り切れるかというと僕にはできません。みんなもそうだと思います
著者みたいにいじめられたこともないし、不器用だけど今まで上手いことやってこれたし、意味なさそうだけどみんなが入ったから大学入ったし、嫌われたくないし。ある程度社会の中で生きて行けてしまう。だから本気で振り切ろうとしません
「年収90万円で東京ハッピーライフ」というタイトルを見た時、「これだよ!」と思いました。
就職してガッツリ稼いで家買ってみたいな普通を押し付けてくる社会なんてシカトしてこの本のタイトルみたいに幸せに暮らしてやるんだ!!!とワクワクしながら買いました。だけど読んでく内に、著者めちゃ変わり者じゃん、俺には無理だわとガッカリ。
結局、僕は世間体を意識しながら生きるんだろうなーと、年収90万円でハッピーライフを諦めました
読み物としては面白かったです
それでは!
- 作者: 大原扁理,死後くん
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2016/07/20
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