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大学1年生 読書、お笑い、ラジオ、音楽、考えたこと

朝井リョウ著「何者」が人生最大の衝撃だった【本・感想】

あなたは自分の価値観に凝り固まっていないでしょうか?

僕がこの記事でお勧めする「何者」はそんな凝り固まったあなたの価値観を粉砕してくれます

読書好きの僕が一番好きな小説「何者」



この本と出合ったの高3の秋でした。
まだ大した量の小説とも出会っておらず、
「趣味が読書ってなんかいいな」くらいの気持ちで小説を読み漁っていた頃でした

「若いし、『桐島、部活やめるってよ』書いた奴の直木賞受賞作だから外れなさそうだろ」
ブックオフにて軽い気持ちで買いましたが、
僕の価値観を揺るがすような小説となりました。


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あらすじ

就職活動をも目前に控えた拓人は、光太郎,瑞月、理香、隆良と頻繁に集まるようになる。
だが、SNSや面接でかわす言葉の奥の本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。
ラスト30ページ、物語があなたに襲いかかる。


本当に襲いかかってきました笑。なんなんだかのあまりに怖すぎる本は、と。



今でもあの、読後感を忘れられない。自分のことを言われているような、
お前そんなんでいいのかよと、物語に詰められるような感覚でした。


読み終わった後は、なんだかゾワゾワが止まなくて、読書でこんな感情が味わえるのかと感心してました

登場人物


就活を舞台に集まった6人の間で繰り広げられる物語。


この物語の主な登場人物は拓人、瑞月、理香、光太郎、隆良、サワ先輩の6人です。
あと1人直接は登場しませんがギンジという男もいます。


6人が目前に控えた就活に向けて互いに協力しあうため、理香の部屋を「就活対策本部」として、定期的に集まるようになります。


就活が進むにつれて、ある人は就活なんてしないしないと言っていたのに面接会場にあらわれたり
、ある人は演劇は興味ないと言いながら関連する企業を受けたり、ある人は名刺なんて作ってみたり、ある人は内定が決まったりする。



こんな風に事態が変わっていくたび、人間関係も徐々に雲行きの怪しい方へ変わっていきます。
その不穏な空気を描くのが絶妙で、「こういうのあるなあ」と思いながらも
はっきりとは考えてこなかったものを朝井さんは言葉にして僕らに突きつけてきます。



たとえば瑞月が内定を仲間に報告した時のシーン。

「別に全然すごいわけじゃないんだけど」と前置きしたあとに、瑞月さんは自分の内定先を告げた。それは誰もが知っているような通信系の大手企業だった。すごいな、と、純粋な感想がそのまま口から出そうになったけれど、そうなる前に瑞月さんが「総合職じゃなくてエリア職だし」と全員に向けて牽制した。おめでとう、の前に「エリア職なんだね」と確かめるように理香さんが言ったのを、俺は聞き逃さなかった。


こんな風に物語後半には不穏な空気が流れています。


瑞月はおっとり系の女の子、対して理香は意識もプライドが高くて気の強い女の子です。
そんな理香はおっとり系の女子の方が自分より内定が早く来たことを認めたくないようです。

「じゃあ、総合職とは全然違うんだね」瑞月さんがどんな説明をしたとしても、こう返してやろうと決めていたのかと思うくらい、理香さんの声には迷いがなかった。
「まあ、どっちだっていいじゃん、そんなの」俺はつい話を割るようにそう言ってしまったけれど、理香さんは全く気にする様子はない。
「私もさ、大日通信の説明会にはいったんだよね。ES出すのすっかり忘れてて受けられなかったけど。私も受けていたら、もしかして今頃、同期だったのかもね!」言わなくてもいいはずの言葉が、あののどをたくさん通って行った。それがなくたって会話が成り立つような言葉が、いま、この部屋中に一杯転がっている

本当に友達なら友達の内定を喜んで祝えるはずですが、理香はそんなことよりも総合職ではなくエリア職であることを確認して自分は負けていないんだ、そう自分に言い聞かせています。


でも、そんな感情も拓人には見透かされています。
この感じって物語だけじゃなく、現実の中でもたまにありますよね。言ってはいけないことを言ってしまって。


怒ったりはしないけど明らかにイライラして、各々の腹の中で沸々と腹が煮えたぎるような感覚。
こういった感覚を朝井さんはリアルに鮮明に描き出すのです。



このようにジリジリと登場人物のなかに摩擦が生じますが、ラストで一気に爆発します。

見どころ

この物語の一番の衝撃はラストです。僕がこの小説が好きなのもラストの衝撃が今の根強く残っているからです。本当に考え方が変わりました。


就活を今後する、就活をしたという人がより物語を身近に感じると思います。
だから、高校生、大学生、若い社会人には、自信を持ってオススメできます。


もちろん、その他の人たちが読んでも楽しめます。
就活という限定的な舞台ではありますが、この物語が主張していることも限定的というわけでは全くありません。


朝井さんはインタビューで
「ただの就活小説になったら何かもおしまいだと思っていた」と言っています



就活小説で終わらなかったからこそ、直木賞をとり映画化して多くの人に届いたのです。
どんな世代の人が読んでも必ず感じることがあります。

何回も言いますが考え方変わります

いまちょうど映画が上映中ですが、個人的には小説の方がわかりやすいのでお勧めです。



小説なら拓人の心の中がわかったり、描写が細かくて世界観や雰囲気が描きやすいからです。
桐島もそうでしたけど、映画だとメッセージ性が伝わりにくいんですよね。
映画って大体2時間に収めているし、小説みたく繰り返し味わいにくいんですよ。



なので僕は断然小説をオススメします。


話題の小説、読んでみてはどうでしょうか?


何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)